《真菌感染症》
カビが内臓に巣くうのが内臓真菌症です。体力の衰えたお年寄りが感染したりすると死に直面する危険性があるため、北里大学医学部の久米講師は、「高齢化時代の厄介な感染症の一つになりつつある」と指摘しています。
北里大のグループが全国で病理解剖された患者の中から内臓真菌症の患者数を調べたところ、一九六〇年までは年間百人以下だったのが、九〇年にはなんと、年間千八百人近くまで増加していたというデータがあります。病院で病理解剖されるケースは、全死亡者の5%程度にすぎないため、実際にはこの数よりはるかに多いことになり、「七〇年ごろから急に増え出し、とくに最近は重症のタイプが増えているのが特徴」と久米講師は分析しています。
なぜ内蔵真菌症が増加しているのでしょうか。
これは、現代医学と切っても切れない関係があります。治療法が進歩したおかげで、救命率はアップしましたが、抗生物質、免疫抑制剤、抗がん剤などを使用する高度医療を続けているうちに、健康な人なら普通は感染しないような弱い毒や菌に対しても抵抗力がなくなり、免疫力も極端におちてしまったからです。
相手が元気なうちは何も悪さをしないのに、弱っている相手には情け容赦なく襲いかかるカビのしたたかな一面が良く分かります。
『すまいを汚染するカビは私達の健康も狙っています!』
カビ(真菌)が原因でかかる病気で真菌症と括られるものを表にしてみました。真菌症にはカビが皮膚から進入して病変を起こす表在性のものと、呼吸や経口で体内に侵入して障害を及ぼす深在性のものがあります。
水虫、タムシ、指の間のビラン、爪や爪囲炎、おむつかぶれ やガンジダ症などが表在性の真菌症です。
深在性真菌症のアスペルギルス症は呼吸器や外耳道に病変をつくり、クリプトコッカス症は脳や中枢神経、肺にとりつきます。
健康であれば 感染することがないのに、他の病気のための抗生物質の使用、手術後の免疫抑制剤及びステロイドの使用などにより真菌に対する体の抵抗力が弱まると、真菌の感染症に罹りやすくなります。
乳幼児や体力が落ちているお年寄りのいる家庭なども注意が必要です。
『人におこる真菌症』
[病 名]
頭部白癬(シラクモ)
[主な原因菌]
トリコフィートン・ビオラセウム
[関係部位]
頭毛部
[症 状]
炎症、汁が出たり、落屑斑(ラクセツハン)ができ、幹部の毛は折れてバラバラになる。
[病 名]
生毛部白癬(タムシ)
[主な原因菌]
トリコフィートン・メンタグルフィテス
[関係部位]
全身、皮膚の角層
[症 状]
円形または弓状の病巣、足の裏に小水疱ができる。周囲に拡大するにつれて中心部が治る。
[病 名]
汗疱状白癬(水虫)
[主な原因菌]
トリコフィートン・ルブラム、トリコフィートン・メンタグルフィテス
[関係部位]
足の指の間、足の裏、手の平
[症 状]
足の指の間や足の裏の皮膚がやわらかになり、小さな水泡ができ鱗屑(リンセツ)になる。強いかゆみがある。
[病 名]
爪白癬
[主な原因菌]
トリコフィートン・ルブラム
[関係部位]
手足の爪
[症 状]
爪の表面にデコボコ、白斑、白条ができ、爪肥厚、爪崩壊をおこす。
[病 名]
カンジダ症
[主な原因菌]
カンジダ・アルビカンス、カンジダ・トロピカリス、カンジダ・ギリモンディ、カンジダ・パラプシローシス、カンジダ・クルセイなど
[関係部位]
肺、呼吸器、皮膚、粘膜、爪、角膜
[症 状]
表在性・深在性カンジダ症、内股やおしりのしわ、手足の指の間、乳房下、膣上膣炎
[病 名]
ムコール症
[主な原因菌]
ムコール属、リゾプス属、アビシディア属
[関係部位]
肺、胃の組織
[症 状]
脳、精髄などの中枢神経及び肺、消化管などを侵す。
[病 名]
アスペルギルス症
[主な原因菌]
アスペルギルス・フュミガタス、A・フレーバス、A・ニガー、A・ニダランスなど
[関係部位]
肺の組織、鼻洞
[症 状]
気管支肺炎または肺膿症の症状、慢性では気管支または肺に球菌を形成する。肺アスペルギルス症、外耳道アスペルギルス症などが多い。
[病 名]
クリプトコッカス症
[主な原因菌]
クリプトコッカス・ネオフォルマンス
[関係部位]
肺の組織
[症 状]
皮膚結核様病巣が首にできる。
ハトのフンに多い。
[病 名]
コクシジオイデス症
[主な原因菌]
コクシオイデス・イミチス
[関係部位]
気管、肺、内臓諸器官
[症 状]
インフルエンザ類似症状、中枢神経が侵され体重減少、関節の痛み、脳脊髄膜炎
[病 名]
ヒストプラズマ
症
[主な原因菌]
ヒストプラズマ・カプスラツム
[関係部位]
口腔、喉頭リンパ系
[症 状]
口の中やのどの潰瘍、貧血になる。この菌はコウモリや鳥のフン、土壌に存在する。
[病 名]
角膜真菌症
[主な原因菌]
フザリウム・モニリフォルメ、その他のフザリウム、ペニシリウム・リラシナム、その他のペニシリウム
[関係部位]
目の角膜
[症 状]
目の角膜の外傷後に発生、潰瘍性である。ステロイド剤、抗生物質の局所使用後におこる。
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